開催概要

CT委員会は2020年6月15日、オンラインシンポジウム「Withコロナ、Postコロナでのオフィス、働き方について」を開催した。テレワークの浸透でオフィスの在り方、人々の働き方や暮らし方が変化する中、企業やそこで働く人たちには、今後、どのような対応が求められてくるのか。CiP協議会 City&Tech 委員会 委員長の石戸奈々子をファシリテーターに、活発な意見が交わされた。その模様を紹介する。

・日時:6月15日(月) 12:00-13:00
・登壇者 (五十音順)

石戸奈々子
慶應義塾大学教授、City&Tech 委員会 委員長
白河桃子氏
昭和女子大学 客員教授、相模女子大学 特任教授、東京大学大学院情報学環客員研究員
田中敦典氏
東急不動産株式会社 都市事業ユニット都市事業本部ビル事業部 グループリーダー
中村伊知哉
iU学長、CiP協議会 理事長
夏野剛氏
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 特別招聘教授
花野修平氏
東急不動産株式会社 都市事業ユニット都市事業本部ビル運営事業部 課長補佐

新しい働き方、暮らし方をどう実現するか「ビフォーコロナ」に戻ったら失敗する

最初に登場した慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 特別招聘教授の夏野剛氏は、新しい働き方や暮らし方をどう実現していくかついて、「ビフォーコロナに戻ったら失敗する」と指摘した。主な講演内容は以下の通り。

▲夏野剛氏:慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 特別招聘教授

新型コロナウイルス感染症の拡大による緊急事態宣言がだされてから数ヶ月の間に、日本が世界に稀に見る「都市集中型国家」であったことに改めて気づかされました。日本は、数字で見る限り、居住地域が国土の20%以下で、残りは森林などですが、大都市圏に人が集中し過ぎています。

例えば、以前は東京郊外の一戸建に住む人が増えるドーナツ現象が見られましたが、今では、「逆ドーナツ現象」が起きています。顕著なのは田園都市線沿線で、たまプラーザや青葉台は高級住宅街でしたが、今は「遠くて住みたくない」という声も聞かれます。埼玉、神奈川、千葉など、いわゆる近郊の住宅街からも人々は都心に集中しています。これが「ビフォーコロナ」の状況でした。

ところが、新型コロナウイルス感染症の拡大でテレワークが浸透し、「オフィスに出社しなくてもできる仕事が多い」ことが明らかになりました。そこで改めて考えるべきことがでてきました。世界に先駆けて、これからの東京には、都市の機能を維持しながら、その都市に人が集中し過ぎないように絶妙のバランスを保つことが求められています。

私は「ビフォーコロナに戻したら失敗する」と考えています。それでは、「どういった世界になればいいのか?」、この問題についてみなさんと意見を交わしたいと思います。

テレワークの実施率が下がりつつある背景は「元に戻そうとする勢力」の存在

夏野氏に続いては、昭和女子大学 客員教授、相模女子大学 特任教授、東京大学 大学院情報学環客員研究員の白河桃子氏が登場。すでにテレワークの実施率が下降傾向にある現状について説明した。主な講演内容は以下の通り。

▲白河桃子氏:昭和女子大学客員教授、相模女子大学特任教授、東京大学大学院情報学環客員研究員

今年、働き方のパラダイムシフトが起きたと思います。私は2016年から厚生労働省の「働き方改革実現会議」に関わっていますが、新型コロナウイルス感染症が拡大する以前の日本ではテレワーク導入が全く進んでいない状況でして、2000人以上の大企業の19.1%で、その半分以上では利用している社員が5%未満でした。

一方、パーソル総合研究所が実施した3回の調査では、3月から緊急事態の解除後までの間にテレワークを導入した企業は13.2%から25.7%へと2.1倍に増加しました。しかも、この間に「初めてテレワークを実施した人」が7割もいることに注目です。この人たちは、働き方へのマインドが変変わってしまい、以前の働き方には戻れなくなっています。

しかし、3回目の調査で5月29日に30.5%に達したテレワークの実施率が、6月2日には23.0%と、7.5ポイントも下がりました。

▲テレワークの実施率はわずか3日間で7.5ポイント下がった

減った理由のひとつとしては、会社の方針で出社し始めたという、「元の働き方に戻そうとする勢力」の存在があります。一方で従業員の意向としては、約7割の人が「今後もこの働き方を続けたい」、特に20代の女性は8割がそう希望しているという調査結果があります。

それでは、今後、どうするか。ハードとソフトの両面から考えると、テレワーク環境の整備などハードの課題は解決できます。ソフト面では働き方や暮らし方を考え、企業、社会、家庭のそれぞれでメリットを享受できる体制を整えることが大切です。

働き方も暮らし方も、超高度成長期の同質性の社会から多様性の社会に変わってきています。同質性の社会では、「均質な人が長時間働く」ことが強みですが、多様性の社会では「多様な人が多様な場所や時間で働く」ことが強みになります。働き方が変わることで、育児や家計を支える収入をどう得るかといった暮らし方も変わってきます。

▲働き方改革は暮らし方改革でもある

働く時間は量から質、企業の雇用はメンバーシップ型からジョブ型へ、オフィスや人々の動きは、1か所に集まって働いていたのが分散して働く方式に変わっていくことが考えられます。

▲今後の働き方はどう変わるのか

各社CEOに今後の働き方をインタビューしたところ、「リアルとリモート両方の利点を活かしたハイブリッドにしたい」そうです。そうなると都心の一等地のオフィスはどうするか。オフィス投資の削減効果は、生産性向上よりも大きいことも分かっています。ただし、ハイブリッド型は、組織の分断にもつながるので、働き方をどうデザインするかが重要になると考えています。

オフィスビルの縮小は新しいビジネスを育てる契機になる

続いては、オフィスビルの提供・運営を手がける東急不動産の都市事業ユニット都市事業本部ビル事業部 グループリーダー 田中敦典氏が登場。オフィスビルの縮小は,新しいビジネスを生むチャンスともなることを説明した。主な講演内容は以下の通り。

▲田中敦典氏:東急不動産株式会社 都市事業ユニット都市事業本部ビル事業部 グループリーダー

東急不動産は、いわば「オフィスビルを提供・運営する」企業です。テレワークが進むとオフィスの需要が減ることを危惧しています。その一方で、オフィス需要の喪失が新しいビジネスを育てていくとも考えています。

例えば、小さな子どもがいる家庭では、自宅でテレワークが難しいという声も聞かれます。そこで、今後はサテライトオフィスへのニーズが高まることが考えられます。それも、都心のオフィスとサテライトオフィスをセットに、「どこでも働ける環境」を作っていくことの重要性が高まっていくのではないでしょうか。

また、サテライトオフィスの行きつく先として、「ワーク+バケーション」の「ワーケーション」のスタイルで、地方でも働ける仕組みを整える必要性も高まっていくと考えられます。実際、2020年2月に、ワーケーションの誘致をしている和歌山県白浜町に行きました。テレワークで仕事が完結する人たち、移住して働いている人、数か月単位で赴任している人などがワーケーションを実践していましたが、「東京で営業をしているよりも成績が良い」、「生産性が非常に上がっている」という話しをされていました。

ワーケーションの普及も視野に、どこでも働ける環境を構築していくとなると、浮上してくるのは「これまでのオフィスでは何をやるのか」ということ。この問題も含めて今後、考えていかなくてはなりません。

リアルかリモートかではなく出社とテレワークのベストミックスを

夏野氏、白河氏、田中氏のプレゼンテーションの後は、Withコロナ、Postコロナの時代のオフィスの在り方と働き方をテーマとしたディスカッションが行なわれた。ファシリテーターは、石戸が務めた。主な内容は以下の通り。

石戸
夏野さんは「ビフォーコロナに戻してはいけない」という提言があり、一方で白河さんからは「データを見ると、実は戻りつつある」という指摘がありました。まずは、ここから議論したいと思います。大企業では、「半分は出社して、半分はテレワークで」というのが多いようです。中小企業では8~9割が「テレワークができない」というデータもあります。

夏野氏
「半分はテレワークで」というのは、いわば「間を取った」だけで、経営者は深くは考えていないと思います。テレワークをいかに導入して活用するかには、経営者の能力が大きく問われます。私が代表をしているドワンゴでは、既に地方採用を進めようという声もあがっています。地方のエンジニアは人件費も安いし、地元の実家にいるなら会社が家賃を負担する必要もありません。テレワークの導入・活用で、人材の流動化を進められるのです。

人材の流動化は重要で、例えば品川駅東口には旧態依然の大企業が集中していて、コロナ禍でも朝はラッシュでした。これを嫌だと思った人が、もっと自分の時間を大事にできる会社に転職していったときに、初めて国全体でシフトが起こると思います。

そのために重要なのは、国が例えば失業保険は即1年間全額支給するといったセーフティネットを充実させたうえで、解雇規制を大幅に緩和すること。日本再生にも非常に役に立ちます。転職することは危険ではなく、むしろ人生が彩られるというカルチャーを作ることが大切です。

白河氏
「半分は出社して、半分はテレワークで」とはいえ、この問題は「リアルVSリモート」というわけではありません。どちらか一方ではなく「ベストミックス」を探すべきです。今を検証期間として、社員がその期間に何を考えて何を体験したか、またテレワークへの不安の声もきちんと聞くべきだと思います。

また、「5割ぐらいがテレワーク」といえるのは東京の企業であって、地域差が非常に大きいことにも注目してほしいです。

夏野氏
テレワークができない企業の問題は、アウトプット評価をしていなかったことです。管理は「しているふり」だけで、コロナ禍でテレワークが浸透したことで「中間管理職はいらない」ことも露呈してしまった。とはいえ、そうした管理職をどう処遇すればいいのか、経営者も決断を渋っているのが現状ではないでしょうか。

石戸
テレワーク導入によって働き方も、従業員の管理や評価の方法も変わるということですね。これまでは一律だった会社の仕組みは、Withコロナ、Postコロナの働き方に適用するために、どんな点を変えなければならないのでしょうか。

白河氏
評価と報酬の再設計が必要だと思います。今までは長時間働いてきた人をなんとなく高く評価してきましたが、これからはそうはいきません。長時間、働いているかどうかがわかりにくいテレワークで「頑張っている人をどう評価するのか」という問題が出てきました。夏野さんが以前に、「できる人はどこでもできる、できない人は会社でもテレワークでもできない」とおっしゃっていたことがありますが、オフィスでは働いているように見えていただけの人もいたのですよね。

夏野氏
はい、そうです。ドワンゴは、もともとアウトプット評価で、年功序列でも終身雇用でもなく、退職金制度も撤廃して普通の給料に上乗せして払っていました。だから、テレワークになっても、仕事ぶりも評価も成果も変わらないと思っていたのですが、じつは「働いているふり」をしていた人も多かったことがよく分かりました。

テレワークでは「上司が部下に何を指示した」「その日、その週に何を終えたか」をアウトプットしてきちんと管理します。しかし会社で集まって仕事をしていたときには、いろいろと誤魔化しができていたのだと思います。

これからのオフィスに求められる新しい機能とは

石戸
ここで、iU学長 CiP協議会 理事長の中村さんに意見を伺いたいと思います。中村さん、現在はテレワークが広まりつつありますが、日本は「なかなか変わりにくい社会」ですよね。コロナ禍の前にも「テレワークが必要」とずっと言われ続けながら、なぜ日本にはテレワークの導入がこれほど進まなかったのでしょうか。

▲中村伊知哉:iU学長、CiP協議会 理事長

中村
経営者の問題だと思います。iUでは、コロナが終わっても授業はずっとオンラインでしてほしいとの要望が高いです。多分もう元には戻れない。ずっとオンラインで授業することになると、キャンパスはどう使うかが悩みになり、学校スタッフも教員も働き方を丸ごと変えなければなりません。経営者のマインドの問題だろうと思います。

30年ほど前に、役所で「これからテレワーク、どうしましょうか」という会議をやったことがあります。そのときからメインの課題は「評価システム」だと言われてきました。結局何も変わっていません。コロナ禍になってみんなでやってみたら見えてきた世界がある、それをどうするのかが僕の関心事です。

テレワークに慣れると、人は「職住一致」を求めるようになると思います。例えば「都心のオフィスに住む」新しいニーズも出てくるのではないでしょうか。

石戸
街づくりを考える中で、オフィスをどうするかは大きなテーマです。オフィスは大幅縮小となるのでしょうか。そしてもうひとつ、そのとき最後までオフィスに必要とされる機能は何だと思いますか。みなさんにお伺いします。

夏野氏
ドワンゴは銀座の一等地に5フロアあって社員が1000人います。それ以外にも分散したオフィスがあります。銀座の5フロアは現在の3割程度の広さがあれば足りるようになりますが、実は本社のスペースを減らすことは考えていません。

固定席は減らして共用スペースを作る、それと会議室をたくさん作ろうと思っています。リモートでも、リアルで会議室にいる人と全く同じような存在感を示しつつ会議に参加できる環境を作りたい。コストはかかりますが、大きなスクリーンを置いて通信環境をしっかり整えて、しかも、お出かけのように気分が上がるように。お出かけの機会がなくなると、お出かけはわくわくするものになるので、それを本社機能に持たせたいです。

もう一つ、こえは学術的にもかなり研究されているのですが、本来座っている位置に人の頭の大きさが再現されていると、人は「そこに人がいる」ように感じるそうです。顔の大きさと双方向性がポイントです。

石戸
例えばGoogleは、オフィスをコミュニティの場所として、みなが集いやすくセレンビリティが起こりやすい空間になるように取り組んでいます。人が出会い、新たなものが生まれる場は引き続き必要で、それがオフィスに求められる機能となるのでしょうね。

白河氏
先日、サイボウズの青野さんとお話ししたのですが、今後のオフィスに求められる機能は「ワイガヤできるスペース」だとおっしゃっていました。サイボウズには日本橋に素敵なオフィスがあって、バーカウンターやパーティーができるような場所があります。私も「ワイガヤ」が一キーポイントになるのではないかと共感しています。

夏野さんからの「人と同じサイズで存在する」という考え方は、私も重要だと思います。私はそれを飲食店でやってほしいと思っていました。外出できてお店に行ける人と、外出できない人がそのお店のテイクアウトを取って、同時に「そこに相手の存在を感じながら」会食ができるようになればいい、そんなことができるようになると、リアルとリモートの境目なく都合のよい方を選んで集えるようになると思います。

石戸
オープンイノベーションの時代は1社ごとのオフィスでなくてもいいことになります。街全体に複数の企業の人たちが集い創発できる機能があれば、オフィスとして会社ごとに区切る必要もなくなると思います。

夏野氏
それを目指したのが「WeWork(ウィーワーク)」だと思います。これまではオフィスもレンタルスペースもデザイン性などなく地味なのが普通だったのに、超ハイセンスなデザインでマルチに使えるスペースを提供した。日本では事業がうまくいかなかったのは、つまらない外観や内装のビルが多いからでしょう。

石戸
ここでもう一人、東急不動産 都市事業ユニット都市事業本部ビル運営事業部 課長補佐の花野修平氏にお伺いしたいと思います。花野さん、オフィスデベロッパーのお立場として、ご意見はいかがでしょうか。

花野氏
オフィスには共用部と占有部があって、占有部は各企業がアレンジできるのですが、共用部は一辺倒になってしまいます。みなさんのご意見を伺っていて、今後は、オフィスのエントランスから会社の専用室内につながる共用部分までを、どう素敵な空間や快適な場所にしていくかを、ゼロから考えていく必要があると思いました。貸し方にも新しいアレンジが必要かなと思います。

▲花野修平氏: 東急不動産株式会社 都市事業ユニット都市事業本部ビル運営事業部 課長補佐

白河氏
ある大手デベロッパーの取材をした時の話ですが、立派なビルを建てたあと、全部を貸すのではなく1フロアを共用部にして入居者に解放したそうです。この経営判断には社内でもかなり抵抗があったということなのですが、どうしたらデベロッパーの考え方を変えていけるのでしょうか。

田中氏
要は、貸せば賃料収入になるのに、お金の稼げないフロアを作ったということですよね。稼げないフロアと見るのか、付加価値をつけて物件全体の価値上げると見るか、だと思います。すぐには解明しづらいですが、5年や10年、続けると、共用部分があることで建物の価値が評価されていきます。実績を積み重ねて「こうすればお客様に末永く評価される」と経営陣に見せていく必要があると思います。

石戸
夏野さんにお聞きします。テレワークでいろんなことが効率化できて生産性も上げられますが、人間、効率化だけでは新しいことは生み出せないと思います。新しい出会いの部分をオフィスの機能に求めるお話がありましたが、その機能をテクノロジーやバーチャルで実現できないのでしょうか。

夏野氏
これからVRやHMDの普及が促進すれば、リアルもリモートも差がなくなります。実は街づくりも、公共インフラ、ビル内も含めてテクノロジーの塊です。例えば、まだ誰もやっていませんが、Bluetoothなど使えばエレベーターに近づくだけで、どこに向かうか指示が出せるわけです。あと、入退室カードのようなフィジカルなカードも要らなくなる。リアルな場所としてのビルは、テクノロジーを入れて改良すべき点がいろいろあると思います。

UXという言葉は、我々の業界で当たり前ですが、都市やビルのUXは誰も考えていないです。建築家は「導線」を考えますが、設計者は誰も、ビルに入ってから自分の席にどれだけ簡単に着けるようにするかを考えない。テクノロジーを積極的に導入してほしいと思います。

石戸
オフィスだけでなく、街の回遊の仕方もテクノロジーによる新しい発見がありそうですね。オフィスもリアルな空間にはまだまだアップデートの余地があるということですね。

もう一つ、個人の働き方は今後どうなっていくのでしょうか。夏野さんは「転職すればいい」とおっしゃいましたが、テレワークすると副業もできるし、どこかに所属するのではなくフリーランスのような働き方が増えていくのか否か。それも今後のオフィス設計、オフィスの在り方を考える上で重要な論点だと思います。白河さんはこの分野、専門でいらっしゃいますよね。

白河氏
私が所属するフリーランス協会でも議論されています。今回の持続化給付金の申請がとても大変だったように、政府はフリーランスを推奨するわりにセーフティネットがない。夏野さんもおっしゃったセーフティネット的なものがあれば、もっと人材の流動化は進むと思います。

コロナ禍で失職する人が大勢出てベーシックインカムの導入が真剣に検討されている国もありますが、この時代、それもあり得るのかなと思います。

これからテレワークや転職が盛んになって若い人にはそれが当たり前になる。一方で「顔を合わせないと仕事じゃない」という人は同じ価値観の人が集まって、それはそれで一つの強みになるのかもしれません。ただそれを、違う価値観の人にまで強要しなければいいと思います。

夏野氏
これまでは「平日は会社がメインで家庭はサブ、週末は家庭」のように頭の中で切り分けていて、24時間中でも仕事の8時間が生活の中心だと思っていた人が多かったと思います。しかし、リモートワークの今はその8時間の間でも、昼休みに家族と食事をしたり、ミーティング直後に家族と顔を合わせて話ができたりと、いろいろと環境が変わったのです。「生活のベースは家庭にある」と気づいた人と、「早く会社に行きたい(家にいたくない)」と思っている人、どちらが多いかというと圧倒的に前者と思います。

コロナ禍は、あと1年は収まらないでしょう。だとすれば、この状態に逆慣れしない間に、政府の政策や企業側の体制を整えて新しい時代に突入するのがベストシナリオです。ワーストシナリオはビフォーコロナに戻ることです。

石戸
今日は職住一致の議論はできませんでしたが、住む場所や住居をどう捉えていくかが新しい論点になりそうですね。「生活のしかた」も今後のテーマに取り上げていきたいと思います。本日はご登壇いただいた方々ありがとうございました。

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