開催概要

第4回CT委員会を開催しました。

内容:データの共有や街全体のヴィジョンの観点から、データ流通プラットフォームについてプレゼンおよび議論を実施

日時:2019年3月7日(木) 10:00〜12:00

場所:赤坂サンスカイルーム 3B

発表内容

  1. 理化学研究所 橋田浩一様 mydataとPLR
  2. 東洋大学 生貝直人様 データポータビリティと人間中心型データ活用エコシステム
  3. データ流通推進協議会 杉山恒司様 DTAの取り組みについて

発表・議論

理化学研究所 橋田浩一様 mydataとPLR

  • 本人が主導で、パーソナルデータを活用しようとする仕組み:my Dataが医療、教育等で進んでいる。
  • 事業者によるパーソナルデータを集中管理していたが、管理コスト・リスクが高い等の問題がある。本人にデータを集約する分散管理の方がデータ価値も高く、本人同意でデータ利用可能。
  • PLRは、暗号化されたパーソナルデータをクラウド上にアップロードし、本人が暗号鍵を管理することで、本人が指定した相手のみ情報を共有する仕組み。
  • ユースケースであるマッチングにおいて、事業者によるマッチングではなく、個人の場で個人のニーズに適用するサービスを選定する。
    • 個人:カタログを個人手元にダウンロードし、パーソナルAIエージェントによって個人の場でマッチング。
    • メディエータ:仲介事業者となるメディエータがサービスを展開する事業者から商材情報を集め、カテゴリごとのカタログを集める。
  • 以下のようなパーソナルデータエコシステムを、まず竹芝で取り組みたい。
    • メディエータは、マッチング用データを提供した事業者にも価値に応じて収益を分配。
    • 事業者は、よりよいデータを集めて提供する流れを産む。
  • マッチングのユースケースとして、個人のニーズと商材とのマッチング
    • 例:PLRを利用した生徒本人主導のe-ポートフォリオ

コメント・議論

  • (竹芝への実装において、準備すべきことについて)サービス事業者が顧客と購買データを共有することが重要。複数の事業者が顧客の権利として取り扱えば、より良いサービスができていく。
  • ほとんどの場合データを提供せず、手元でマッチングを行う。サービスを選ぶ段階では、データは開示せず、利用する段階で初めて開示。データを開示するのは、個人の意思にかかっている仕組み。

東洋大学 生貝直人様 データポータビリティと人間中心型データ活用エコシステム

  • データ取引においてプラットフォーマ(GAFA等)が力を増す中、EUではGDPR、コネクテッドカー他、個人データ保護に関する制度を設計、適用。
    • GDPR20条:個人データは本人が求めた場合に一般的なフォーマットで取り戻せること、技術的に可能であれば他の管理者に直接移転できること。
    • コネクテッドカー:本人の意思でデータを3rdパーティサービス事業者に繋げ、リアルタイムにも利用できる仕組みやデータの標準化に向けた取り組み。
  • GAFA等プラットフォーマーの動きについて:DTP(Data Transfer Project)
    • Google ,facebook,マイクロソフト、twitterが合同でAPIを標準化し、データポータビリティを促進していくための枠組み。外部事業者がデータを活用したい場合、DTPのスタンダードに則る必要あり。
  • 問題点として、GAFA等のプラットフォーマーが都市全体の基盤データを持っていってしまう懸念がある。
    • 欧州の対応事例:DECODE(アムステルダム・バルセロナで実証)
    • 本人の意思を反映、それに基づいた公共サービス等を含めた、社会基盤をcity全体で作っていく研究開発プロジェクト。
    • 都市単位で集約されるデータを、みんなで安全に管理できるようにしていく。
    • GDPRに対応したデータ活用プラットフォームのあり方を念頭に設計。
  • DTPの「データを提供しあい、共有する」考え方と、DECODEの「city全体でリアルデータを共有していく」という部分を参考にした情報銀行を提案。
    • 1:参加事業者は、プロジェクトで取得した個人情報を、本人の求めに応じて情報銀行にデジタル提供する。
    • 2:情報銀行に集約された個人データは、本人が包括同意した範囲内で活用、参加事業者がAPIで利用できる。

コメント・議論

  • コネクテッドカーのデータポータビリティに関して
    • GDPRのデータの取り決めはライトタッチであり、データが標準化されていない等の問題から、特別枠を作ろうという取り組み。
    • 欧州議会は欧州スタンダードを組み込んでいくとみられる。日本もスタンダード作りに入らないと、欧州/日本市場で別々に準拠せざるをえなくなる恐れがある。
    • 欧州の方が日本で利用する場合のデータの使い方について、GDPRで言えば、欧州人データを扱う限り、日本でもGDPRに遵守しないといけない。
  • 情報銀行に関して
    • 互恵主義→コンソーシアム型。このコンソーシアムに参加するにあたって、GAFA等と不平等な関係にならないよう、仲間に入ってくる審査をどう設定するかを考えていく。また、外国のプラットフォームをこれまで以上に安心して使っていけるように、域外適用を含めた法の網をかけていくべき。
    • 匿名加工情報は1事業者が持っている情報だけを匿名加工しても、いいデータは出てこないが、大量に様々なところから集約して、情報銀行レベルで匿名加工情報を作ったものであれば、意味のあるデータになりうる。ただし、本人が名寄せする仕組みを作らないといけない。
    • 情報銀行の認定において、情報銀行事業者にどうデータポータビリティを課すか、ということが議論されているが、様々な事業者がデータポータビリティで情報銀行にデータをちゃんと移してくれる、ということが重要。
    • 匿名加工情報とは、個人情報保護法が作った法的な非個人情報化手法であり、唯一の匿名加工手法ではない。説明責任を果たし、個人情報の定義を外した処理をすれば法規制は入らない。限られた人しか処理できないよりも、広く荷を負わない形で、これようにカスタマイズされた非個人情報化技術を目指したほうが良いのでは。
    • GDPRは、保護目的だけでなく、欧州の主権国家を超えて個人情報の定義を揃えて、欧州域内の利活用の促進も目的にしているのでは。一方日本は2000の自治体に分かれて、バラバラに個人情報の定義をしてしまい、自治体立病院間、国公立大学間のデータのやりとりすらできないレベル。個人情報条例は、地方議会の問題ではなくナショナルミニマムなので、国としてルール統一をするべき。

データ流通推進協議会 杉山恒司様 DTAの取り組みについて

  • データ流通ビジネスにおいて市場取引を行うデータ市場運営事業者は、市場中立性が求められる。
  • データ流通によって、自社以外とのデータとの掛け合わせ等で新たなサービス開発等が期待されるが、中立性を担保することやデータ流通の環境整備が必要。
  • 上記の課題を解決するためにDTAを設立、133の産官学の団体が参加し、データ流通事業者の基準策定やデータ利活用の促進を行なっている。
  • 現在までに情報銀行検討会での政府意見提出、データ流通IT基準に関する調査、運営事業者の認定基準_D2.0の作成等を実施。

コメント・議論

  • 個人情報ではない凍結化されたデータを、複数のお客さんでシェアする流れを作っていきたい。竹芝地区で街の中のコンディションを可視化する、というところで、各種カメラセンサを使う際に研究成果を使えるのでは。
  • 街のプライバシー強度は重要な項目。スマートシティの設計の際に見誤ると、プロジェクトが進みづらくなる。(カナダのトロントの事例:データの使い方に懸念点があったことで、プロジェクトが停滞。)どういうデータを誰と共有して何を使うか。それも含めて上流からしっかり考えていく。
  • エンドユーザである生活者側の価値観、視点が重要。上流からの設計は必要だが、その課題設定等でミーティングやワークショップを通してエンドユーザと一緒に作っていく、その仕組みを埋め込んで行きたい。
  • 竹芝の取り組みは、広域連携を期待している。データプラットフォームの取り扱い、情報銀行をどう活用するか等、他の地区に導入していかなければならず、国で国際的な整合性を議論していくべき。

議論

  • スマートモビリティ、IoT等で要求される品質・種類がおそらく違う。本人申請制度問題が必ず出てくる。データとして、個人と連携事業を強くとるのか、枠組みは共通としてあるので、みんなの意識を統一させるべき。
  • モビリティを走らせると、個人に紐づかない部分でデータを引っ張ってこられるので、街づくりに活かせるのでは。モビリティを設計するにあたり、こういうデータが取れると街の役に立つ、という意見が欲しい。
    • 個人でなく、建物が写っているデータについて。道路ごとに建物がどんな状況か⇆問題点・設計が相補的にデータを取れる。スマートモビリティの中で実現できると、都市設計に資するデータになる。その場合のデータ品質はなにか、という議論に持っていきたい。
    • スマートモビリティを動かすために、先行して都市設計が必要。自動車個々の自立機能も必要ではあるが、全体として制御しているシステムと捉えないと、交通状態も何も分からない。
  • 今後MRグラスの普及が考えられ、スマホを使った2次MRグラスもできる。データプラットフォームの話の中で、個人がデータ管理することで、自分のスマホだけが知っているレコメンド情報を提供する仕組みを、竹芝でやっていきたい。システムを整える議論と、その活用法を並行して話し合ってあうべきでは。
  • 街のライフサイクルについて。今日は制度の話が多かったが、ソフトウェア・ハードウェアも時代とともに変わってくる。これくらいのライフサイクル、というのがわかって入れば、今後の問題が予測しやすい。
  • ヘルスケアデータについて、各病院が診察した患者のデータを、お互いに流通するのは難しい現状。竹芝で取り扱うとすれば、どのようなものがあるか。
    • 竹芝のみ、といったローカルでは難しく、全国統一でブループリントがないとワークしない。
    • 医者が本人に医療データを返すことに制度上障壁はない。竹芝地区の中で、医療データ等も込みで扱う仕組みにしていけば良いのでは。
    • 個性をもった契約をみんなでやるとワークしない。審査プロセスの標準化は必要。
    • 銀行で問題になっているのが、コスト。維持をするメンテナンスコストがかかる。大量のデータをどうマネタイズして、誰が維持するのか。コスト構造の分析が極めて重要。
    • 医療データは、2000個問題に加えて、倫理審査委員会3000問題がある。国で全部引き取らないと回らない。
  • スマートモビリティについて。閉じないで、外にたいしてどういうインターフェースになるか、考えて設計すべき。自動走行に関して、隊列走行、高速道路限定、既に進んでいる。過疎地は別の問題で考えるべきで、都市型のものと、高速道路等を繋いでいく部分がないと、発展性がない。外部に対してどういう繋ぎ方をするべきかを含めて設計すべき。