第7回CT委員会 活動報告
開催概要
第7回CT委員会を開催しました。
日時:2020年 11月 9日(月) 13:00〜15:00
場所:東京ポートシティ竹芝オフィスタワー
内容:竹芝の現地視察、竹芝プロジェクトのこれまで/今後の取り組みについて
東急不動産株式会社 田中敦典さま
2組織でエリアマネジメントを実施。
- 一般社団法人竹芝エリアマネジメント:実際の事業運営。
- 竹芝地区街づくり協議会:地元の組織。街の将来を検討、協議。
デジタルxコンテンツxテクノロジー、地元の方と公共空間での街づくり、の2つの竹芝ならではの活動を実施。
- 竹芝ホールにて、平井大臣も視察したMUCC無観客配信ライブを実施。
- 埠頭の活用:社会実験として夏のビアガーデンイベント
- 1→10との旧芝離宮庭園の夜会
- ロボット活用の夏ふぇす:ロボット、パーソナルモビリティなど。近未来の姿の提示
- 小笠原諸島-東京の遠隔旅行体験:テレイグジスタンス。現在1Fローソンにて稼働中
- ミズベリング:河川の規制緩和。
- MaaS実証実験:船を使った新しい交通機関。
スマート東京の先行実施プロジェクトに採択
- 都市OSを構築し、データを収集、サービス提供に活用する事業。
- 第一弾としてスマートビル。1300以上のデバイスを設置。
- オフィスワーカー向け:エレベータホール、椅子テーブルの混雑状況等の可視化
- 来館者:お店の混雑状況の可視化
- エリア全体に広げ、街全体のスマートシティを作っていく。
国交相3D都市モデル:竹芝が1つのユースケースとなる。
竹芝Marine -Gateway Minato協議会:
- 港区との官民連携プラットフォームの形成
- 公共空間の活用、スマートシティの取り組みを港区と一緒に推進。
- テクノロジー活用を竹芝だけでなく、東京ベイエリア全体に広げて行けたら。
ソフトバンク株式会社 関治さま
街・ビルの様々なセンサーデバイスから、プラットフォームに収集、分析。竹芝に集まるあらゆるステークホルダーの方と、活用方法を一緒に考えていけたら。
竹芝ビル→街区→周辺エリアとデータ連携を拡大していき、スマートシティ事業として進めていく。
ビルディングの仕掛けについて:
竹芝ビル・シティに設置しているセンサーデバイス:1377台。リアルタイムでクラウドに収集し、各サービスにてデータを活用。
- スキップテラス:テラスの空き状況の可視化、ランチや休憩の際にチェック可能に。危険エリアを侵入検知し、警報。
- シャトルエレベータホール:3Dセンサーで混雑状況の可視化。
- オフィスロビー:ロボット警備:デバイスがあることによる抑止力としても効果。
- 商業ゾーン:店内混雑の可視化、空席率に応じたクーポン配布、テレイグローソン。
- スマートビルアプリケーション:オフィスワーカー向け、ビルマネジメント向け、PM向け可視化
- 使用技術Vayyar:カメラでなく電波によって人の位置を判別、混雑状況を可視化。プライバシー確保が可能。
●東急不動産株式会社(アルベログランデ):根津登志之さま
CiPができて5年、これからの街のあり方を今までCT委員会で議論してきたが、場ができた。竹芝大掛かりに街が変わっている段階。
今後も街づくりを題材に、みなさまの様々な観点から、活発な議論をさせてもらえたら。
東急不動産株式会社 花野修平さま
スマートシティ竹芝について
- エリアの課題は街全体の回遊性の向上、街の安心安全、コロナを背景にした混雑回避
- ベイエリアの新交通結節点として、最先端プロジェクトが生まれる街を形成し、竹芝から浜松町、芝浦、品川と湾岸に拡大していきたい。
- 取り組むテーマとして、交通、防災、Virtual竹芝、商業、スタートアップ連携とそれらを統合した都市OS。
- 「交通」:エリアを周遊するモビリティ活用を進め、さらには海が近い利点を生かし、船との連携を作りたい。
- 「防災」:街のデバイスを使ってデータを都市OSに集め、災害情報、気象情報、街の人流に関する情報を集め、災害時に情報の可視化に活かす。
- 「Virtual竹芝」:国交省と連携したデジタルツインの取り組み。街のデバイスから得たデータで可視化していく。
- 「商業」:店舗の満空情報の可視化を行っている。この後は地域を広げ、店舗のみならず街全体のデジタルマーケティングに生かせるようしたい。
- 「都市OS」:プラットフォームにデータを集めた上で、各種サービスを展開、それぞれが横軸で連携できるように。
街のデータの集め方:
人流を取るために街区に防犯カメラを設置、防犯機能や人流データを街づくりに活かす取り組みを進めている。屋内外それぞれ40台前後、計80台のカメラを設置して人流を把握したい。
データの管理方法について:
デバイスからデータを取るにあたってどう街の皆様に告知するか、データをどうマネジメント、管理するか、それぞれ議論を進めている。
竹芝エリアマネジメントが公的団体としてガイドライン作りを進めている。オープンにデータを出し、それぞれのプレーヤーが自身の事業に生かしていただきたい。
現在、竹芝エリアマネジメントの下に交通、防災、商業等の分科会を作り、サービス・課題について議論を進めている。CT委員会とも連携しながら進められたら。
スケジュール感として、2020年度にサービスの定義、デバイスの設置、2021年以降にPoC開始、2022年度にはプラットフォーム、ガイドラインを運用できれば。
コメント・議論
CT委員会委員長:石戸奈々子
総務省の2030年未来予測からスタート。できることを実装するところからCT委員会がスタート。8つの軸を据えて、先端技術を全て導入した街づくりを進めた。竹芝についてはかなり実装した姿が見えたのではないか。
あらためて以下の項目を含めた、感想と今後に関するアドバイスについて議論できれば。
- あらためて、今後もっと導入すべきと思う部分
- データの利活用について
- どういう街づくりをするかというようなビジョン
●東京大学:渡部俊也さま
Beyond Ai研究所:
- ソフトバンクと東大の組織間連携。10年で200億円規模の研究。
- 本郷の研究所を開設。中長期研究を立ち上げている。ジョイントベンチャーを作る種をいくつか行っており、その拠点を、コロナの影響もあり、竹芝物理拠点→バーチャル上で再設計。
- 東大-ソフトバンクの関係もDXしないといけないが、世界中がすごい勢いでデジタル化している。ここはチャンスであり、DXと国際化は一体で打ち込んでいけたら。
スタートアップ連携について:
東京都のスタートアップエコシステムの拠点に参加している。物理的な地域に加えて、エコシステムのDXを進めなければと思っており、それはまさしくデータ、AIとの関係、東大サイネット、計算機資源を活かす等できれば。
東京都、ソフトバンクの話もDX・国際化で、コンセプトを作り直していきたいと思っており、そうしたことでこちらとの関係も作っていきたい。
データガバナンスについて:
- 内閣府官房 和泉補佐官とデータ戦略タスクフォースにあたっており、コロナ禍で必要なデータにアクセスすることができない問題が出ており、抜本的に何とかしたい。
- 私たちが目指すデータガバナンスとデータ利活用の姿について、一部データ利活用にインセンティブをつけるなど、こちらでも活かしてもらえたら。
●東京都:米津雅史さま
- モビリティ、ロボットなど個別の取り組みからひとつの集約点としてのプラットフォームというところにきた。そういう意味では、世界に先行するエリアとして竹芝を位置付けている。
- 街の発展に必要なスタートアップの技術等を使えるように、メニュー化していきたいと思っており、大学等とも連携していきたい。
●データ流通推進協議会:杉山恒司さま
個々の街区、都市、個別分野における「データ連携」を実現することは勿論重要であるが、「都市間」「分野間」をスムーズに連携させることこそが「肝」なので、DTAとしてはそこを引き続きご支援していきたい。また、年明けに発表される歴史のある著名「白書」の「スーパーシティ」の項を執筆担当しているので、今回の委員会は非常に参考になった。
●株式会社ワントゥーテン:梅田亮さま
もともとエンターテイメント、体験コンテンツが得意な企業で、近隣で言えば芝離宮 夜会など。
エンターテインで人をもてなす、という形での2つ可能性について:
- インバウンド:復活してくる時にエンターテイメントで受け入れる方向で、羽田イノベーションシティや前橋エデュテイメント等で溜めた知見で貢献できれば。
- データの利活用:エンターテインの視点からソリューションを見直して、楽しく使ってもらえるUXの提案という形でも貢献したい。
●メルカリ:山村亮介さま
- Poimo:メルカリR4D、東大川原研究室と、空気で膨らむ新しいモビリティの研究。竹芝の地で、poimoを使って貢献できたら。
- 高齢者の免許返納後に使えるモビリティ、子供向けベビーカー、歩行領域などの視点で進められたら。
- 配送ができる箱型モデルも作っており、竹芝のデッキでの実証もできたら。
●映像配信高度化機構:吉沢章さま
今年度総務省実証事業 防災で利用する5G:
- 災害時に防災ヘリやドローンで状況を撮影し、避難誘導等に役立てる。
- ハイビジョンでは分からない→8Kカメラ、5G端末をドローンにつみ、防災拠点に情報を渡し、避難誘導に役立てる。
- もし竹芝で実証する場合には、5Gでドローンからの8K映像を受ける基地局があれば良い。可能性があれば一緒に実証できれば。
音楽ライブ、伝統芸能、演劇、歌舞伎等4K8Kで撮影世界中にライブ配信:
- システムは昨年度完成 コロナ化で問い合わせ多数。
- 東急/富士通ジョイント 無観客の上演を8Kで撮影収録。大きなホールで有料上映するサービスの実験を文化庁から受託。
- 竹芝1Fのホールでも、4Kプロジェクター、300インチの大画面でコンテンツを上映できる。こうした施設が次々にできており、近い将来新しいコンテンツの楽しみ方が生まれてくる。
- 来年の五輪でもライブビューイングを多数行えればと思うが、7月竹芝でのイベントにも参加したい。
●鹿島建設:小松寛和さま
アルベログランデの立場で参加。羽田イノベーションシティや、施工管理用のデータのデジタルツインへの活用などの取り組みをしている。ゼネコンから発展して、スマートシティ作りでも頑張っていけたら。
●国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT):矢野博之さま
- 街づくりの観点でいえば、データ分析、データの利活⽤の分野のスタートアップとも連携ができれば。
- キャリア・メーカの先にいる⼆次三次のユーザーともつながりを広げ、社会貢献につなげられたら。
- また、ニューノーマル時代に対応するため無線通信技術を活用した無人移動ロボットでものを運ぶ実証実験を⾏っている。お声がけいただければ貢献できることもあるかと思う。
●国立研究開発法人理化学研究所:中川裕志さま
- 竹芝に限らず様々な地域でこうした取り組みが行われており、1つ1つは立派なものはできていくと思われるが、それらがどんなインターフェースでつながるかが問題になる。
- 物理的空間と情報空間は構造・性質が違う。それらがどう繋がりあうのか、考え始めるべき。
- 自分自身のデータ空間は広く複雑。生物学的な実態と離れて、外界のデータ空間とどう向き合うか、パーソナルAIエージェントという名前で、研究を進めている。
- 技術を作った後に法律的にどう位置付けるか、どう落とし込むかコンセプトを作っている。
- 竹芝が情報・物理的にエクスパンドしていくことに関して言えば、どこかで貢献できるかもしれない
●国立研究開発法人理化学研究所:橋田浩一さま
- 都市OSには個人情報が入っていない。各個人はいろいろな場所に出没し、様々なスマートシティを個人がつなぐ。
- 情報は本人のために使うのが一次利用でその最大化を行うことが第一では。
- 本人のためにパーソナルAIエージェントが情報を管理、フル活用。企業はそれを通してサービスを提供する形態になれば、価値としてGDPの3割くらいあると予想。
- 究極は各個人の人生を最適化することで、新たな生活スタイルを作るということにもつながる。
- 竹芝でまず何を始めるかというところで、各個人とお店とのマッチングを個人のAIが行う、人と人との出会いをどう実現するための詳しいパーソナルデータを使えるようにするなど。そういった部分で貢献することができれば。
●国立研究開発法人理化学研究所:佐倉統さま
- 専門は科学技術社会論で、AIと社会との関係に関心を持っている。
- 個人情報に関して言えば、中国では個人情報は国が吸い上げて安全に管理するのが良いという空気になっており、一方欧州では個人の権利は大事ということで両極端ある
- コロナが終わった後どうなるのか、世界的な話題に。竹芝ではどうするのか、街の単位でどうやるかを決めるべきでは。
- これまでロボットは人の代わりという発想だったが、コロナ後も前と同じ状態に戻らないとすれば、ロボットだから安心という場面も出てくる。機械だからできるというコンセプトがこういう場所から出てくるのも面白いのでは。
●慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科(KMD):稲蔭正彦さま
中長期的なビジョンをもって考えていくべき時期:
- スマートシティは魅力的だが、住みたいかというとその点は気になる。
- KMDは、クリエイティブな社会を作ることがグランドミッション。スマートだけどわくわくどきどきできる街、そういう観点から色々なテクノロジーを有効活用するべき。リアルとバーチャルのデジタルツインをうまくデザインすることで、新しい社会のありようが世界に発信できるのでは。
- グレートリセットという新しい社会を作るプロセスの中で、自然との共生がクローズアップされている。そうした社会投資に力が入っているような拠点になると面白い。
ムーンショット研究開発事業:
- 2050年までに人が身体の時間・空間制約から解放される、身体性と社会性が調和したサイバネティックアバター技術の開発を行う。
- セレンディピティ、人と人との新しい出会いの場をオン/オフラインを組み合わせて作れたら。
ムーンショットが主な活動になるが、全体としてワクワクドキドキするようなクリエイティブな街づくりに貢献できたら。
●一般社団法人データ流通推進協議会 落合孝文さま
現状のコロナ禍のもとでは、なかなか人が集まりにくく、かといってオンラインの懇親会では盛り上がりにくいことがある。竹芝についてはバーチャルも最大限に生かしつつ、交流の場として機能してもらえると良いと思う。
●CiP協議会理事長:中村伊知哉
- ロボット、サイネージ、パブリックビューイング、MaaS、データはかなり実装できており、給電、ドローンも実装に近づいている。
- こうした状況は予想より2年ほど早いが、来年7月の「チョモロー」で、きちんとショーケースとして見せていくことが大事だと思う。そうすることで、横展開のインターフェースの課題も見えてくるのでは。
- 竹芝をデジタル庁の支局にできないかという話もあるが、どう設計すればか皆さんとも進めていけたら。このような話も、具体的な場所が出来て、皆さんにイメージを持ってもらえたから。皆さんもぜひプロジェクトを持ち込んで頂き、さらに実装を進めていけたら。
●CiP協議会CT委員会委員長:石戸奈々子
街のイメージができると皆さん言いたいことやりたいことがみえてくるので、それを詰めていきたい。